イベント物販のレシートは簡易インボイスで足ります|ただし登録番号が入っているか確認してください

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イベントで物販をしていて、レジから出てくるレシートをそのまま渡している人は多いと思います。うちもそうしてきました。
そのレシートで足りるかどうかは、書かれている項目で決まります。 そして小売業には、記載事項を省略できる仕組みがあります。
うちはタレント事務所を経営しながら、2020年から月20回ほどイベントで物販をしています。この記事は、自分のレシートを確認するために国税庁の資料を読んだときのまとめです。
キャッシュレスが増えると、レシートの数が増える
先に前提の話をします。
2025年のキャッシュレス決済比率は、経済産業省の発表で**58.0%(162.7兆円)**でした。内訳はクレジットカードが82.7%、コード決済が10.2%、電子マネーが3.7%、デビットカードが3.4%です。
うちの現場でも、キャッシュレス比率は6割まで来ています。
ここで実務として効いてくるのは、キャッシュレスでは端末が必ず控えを出すということです。現金なら「レシートはいりません」で終わることもありますが、決済端末を通した取引はそうなりません。
キャッシュレス比率が上がるほど、発行する書類の数は増えます。 数が増えるものは、形が間違っていたときの影響も大きくなります。
「58%」には指標が2つあります
余談ですが、この58.0%という数字には注意点があります。
2025年12月のキャッシュレス推進検討会で指標が見直され、今は「国内指標」と「国際比較指標」の2つが併用されています。
見直しの理由が、資料にこう書かれています。
国際比較指標の分母には持ち家の帰属家賃等が含まれており、約57兆円(約 17%相当)を占める
持ち家の帰属家賃は、自分の持ち家に住んでいる人が「もし借りていたら払っていたはずの家賃」を金額に換算したものです。実際には支払いが発生していません。
そこにキャッシュレス決済が起きるはずがないので、分母に入れると比率は低く出ます。それを除いたのが国内指標です。国内指標のほうが8〜9ポイントほど高く出ます。
政府目標は2030年に国内指標で65%、将来的に80%です。
小売業は「簡易インボイス」を交付できます
本題です。
インボイス制度では、不特定多数に販売する一定の事業について、記載事項を簡略化した「適格簡易請求書」を交付できます。 対象の事業はこうです。
| # | 事業 |
|---|---|
| ① | 小売業 |
| ② | 飲食店業 |
| ③ | 写真業 |
| ④ | 旅行業 |
| ⑤ | タクシー業 |
| ⑥ | 駐車場業(不特定多数向けに限る) |
| ⑦ | ①〜⑥に準ずる事業で、不特定多数に行うもの |
ここで見落とされやすい点があります。①から⑤には「不特定かつ多数の者に対するもの」という限定がありません。
国税庁の資料にはこう書かれています。
小売業として行う課税資産の譲渡等は、その形態を問わず、適格簡易請求書を交付することができます
イベント物販は小売業です。 会場が屋内でも屋外でも、常設店舗でなくても、形態を問わず簡易版でよいということになります。
記載事項は5つです
適格簡易請求書に必要な項目です。
| # | 記載事項 |
|---|---|
| ① | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称、及び登録番号 |
| ② | 取引を行った年月日 |
| ③ | 資産又は役務の内容(軽減税率対象ならその旨) |
| ④ | 税抜価額又は税込価額を、税率ごとに区分して合計した金額 |
| ⑤ | 税率ごとに区分した消費税額等「又は」適用税率(両方書いてもよい) |
通常の適格請求書と比べたときの違いは、2点だけです。
- 相手方(買った人)の氏名・名称を書かなくてよい
- ⑤は消費税額か適用税率の、どちらか一方でよい(通常版は両方必要)
不特定多数を相手にする業種で、いちいち相手の名前を書いていられないので省略できる、という趣旨です。
紙でなくても構いません
簡易インボイスは、その交付に代えて電磁的記録を提供することもできます(消費税法57条の4第5項)。
メールでの送付やデータでの提供でも要件を満たします。紙のレシートである必要はありません。
うちのレシートには、登録番号が入っていませんでした
ここまで調べて、自分のレシートを確認しました。
登録番号が入っていませんでした。
記載事項①は「氏名又は名称及び登録番号」です。5つのうち、唯一この項目だけは省略できません。 簡易版で省けるのは相手の氏名と、消費税額か税率のどちらか一方だけです。
つまり、うちが渡していたレシートは簡易インボイスの要件を満たしていない状態でした。
買った人が事業者で、経費として処理する場合、そのレシートでは仕入税額控除の根拠になりません。 イベント物販では相手が一般の消費者であることが多いので、実害が出る場面は限られます。ただし「限られる」だけで、ゼロではありません。
前回、事務処理規程がないことに気づいたときと同じでした。 運用は回っているのに、要件を1つ落としている。形が整っているように見えるものほど、確認しないまま使い続けてしまいます。
確認するのは1箇所だけです
やることは単純です。
- 手元のレシートに、Tで始まる13桁の登録番号が印字されているか
- 入っていなければ、レジや決済端末の設定で発行事業者情報を登録する
登録番号は、適格請求書発行事業者の登録を受けていれば付与されています。番号を持っていないのではなく、レシートに出す設定をしていないだけという場合がほとんどのはずです。
うちもこれから設定します。結果は追記します。
まとめ
- 2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%。うちの現場でも6割
- キャッシュレスが増えるほど、発行する控えの数は増える
- 小売業は簡易インボイスでよい。 イベント物販は形態を問わず対象
- 簡易版で省けるのは相手の氏名と、消費税額か適用税率のどちらか一方
- 登録番号だけは省略できない
- うちのレシートには入っていなかった
※この記事は2026年9月6日時点で国税庁および経済産業省の公表資料を確認して書いています。制度は改正されることがあり、個別の判断は事業の状況で変わります。実際の対応は国税庁の最新資料か、顧問の税理士にご確認ください。
参照した資料